その時、1人の男がスピーカーの声に向かって「出てこいこの野郎!」と、声を上げた。


「どこかで俺たちの事を見てからかってんだろ!!」


体格のいい男はそう言い、ファイティングポーズをとって見せた。


周囲が再び笑いに包まれた……その瞬間。


男が不意に静かになり、その場でビクビクと体を跳ねさせたのだ。


それはまるで打ち上げられた魚のようで、あたしはキョトンとしてその様子を見ていた。


男は自分の首輪に手をやり、なにか話そうと口を動かしている。


しかし、ここまでは聞こえてこない。


「なんの遊びだ?」


翔吾もそう言い、首を傾げる。


次の瞬間、男性は口から泡を吹き死と目を向いてその場にバッタリと倒れてしまったのだ。


同時に、皮膚を焦がしたような強烈な異臭が立ち込めた。


部屋の中が一瞬にして静寂に包まれる。


次の瞬間、近くにいた女の子が悲鳴を上げた。


「電流!? この首輪から電流が流れてるって言ってたぞ!!」


「冗談でしょう?」


「意味わかんないよ!」


あちこちから混乱した声が聞こえてきて、あたしは翔吾の腕を掴んだ。


「翔吾……」


「大丈夫だ。これもきっとなにかの演出だよ」