『みなさまおはようございます。ここは《mother》の奴隷部屋です』


スピーカーに乗った男の声がそう言い、部屋の中は一瞬にしてざわめきたった。


《奴隷部屋》という聞きなれぬフレーズに、みんなが一斉に反応をみせたのだ。


あたしは翔吾と目を見交わせた。


「なにかのパフォーマンスだろ」


どこからそんな声が聞こえてくる。


確かに、そんな感じがする。


《mother》の中で守られて生きていたあたしたちに《奴隷》などという不気味な単語はあまりにも現実離れしていた。


しかしアナウンスの声は話を続けた。


『あなたたち50名は人としての価値がないものとなってしまいました。


よって、今から《mother》の奴隷となっていただきます』


淡々と説明する男の声に、どこから笑い声が漏れた。


あたしも思わず笑ってしまう。


《mother》の奴隷なんて、ギャグにしか聞こえない。