でも、結局……


セール準備で忙しくしていた私は、忘年会に顔も出さなかった。

そして、私は慌ただしく年を越し、無事、年明けのセールも終わった。

セールの最終日には、スタッフみんなで飲みに行き、打ち上げをした。

店のスタッフはみんな仲が良いから、時間が合えば一緒にご飯を食べに行ったりしているし、こんな風にイベントが終われば、みんなで打ち上げをする。


「セール、お疲れ様」と、みんなで騒ぎながら飲んでいると


「奈緒ちゃん。……もう、落ち着いた?」


店長である梨華ちゃんに声を掛けられた。

梨華ちゃんとは、私がバイトの時から一緒に働いている。

社員になったのは梨華ちゃんの方が先だけど、同じ時期に働き出して、歳も梨華ちゃんが一つ上で近いってのもあり、このショップでバイトを始めて、すぐ仲良くなった。

だから、梨華ちゃんだけは、櫂の事はもちろん、悠也への私の気持ちも知っている。

そして、私は綺那や萌実の前と同じくらい、梨華ちゃんの前でも素直になれた。