「奈緒……」


綺那を見ると、綺那も複雑そうな表情をしていた。

綺那も栞の名前を見付けて、私を心配してくれたのだろう。


「ねぇ、奈緒……。今日って部活ある?」

「うん、あるよ。何で?」

「お昼、一緒に食べるよ」

「う、うん……?」


今日は始業式。

だから、部活に入っていない綺那は式が終われば帰れる。


なのに、何でだろう?

何で、わざわざ学校でお昼ご飯を食べるのだろう?


今、綺那に聞いても“後で”と教えてくれなさそうだったから、とりあえずお昼まで待つか。


クラス発表を見終えた私達は、教室に向かおうと歩き出す。


「奈緒っ!」


振り返らなくても誰が呼んだかがわかる。

わかってしまうのが、悲しくなる。

でも、振り返らないわけにもいかないし、私は声のした方を見る。

そこには、想像通り、悠也と栞がいた。

慣れたとはいえ、二人が一緒にいる所を出来れば見たくない。

二人は付き合っているんだし、一緒にいるのは当たり前。

だから、そんなの私のワガママだけど。