「で、でも、私と前話したよ?」

「あれは、必要に迫られてだよ。スタッフには知らない奴もいるから、必要に迫られれば声色くらい変える」

「そっか」




でも、どうして女装なんか。
モデルなら、楓くんのままでも十分そうだけど。




「楓くんのままじゃダメだったの?」

「・・・・・・」



私の疑問に、楓くんは口ごもった。




「素顔でやりたくねぇんだよ。プライベートは阻止してぇの」

「・・・なるほど」

「いろいろあって、KAEDEとしてモデルしてんの」





なるほど。
色々と、何か事情があるんだろうか。


それにしても、楓くんだとわかっていても綺麗だ。
ついまじまじと見てしまう。




「見てんじゃねぇよ、バカ」

「ご、ごめん」



慌てて目を反らした。