「私、顔をあげなくても空を撮る方法考えたの」

「は?」



私は顔をあげて、楓くんを見上げた。
見上げないと空は撮れないから、空は撮らないのだと言った楓くん。

私は、ベンチに横になって見せた。




「ほら、こうしてとれば、見上げなくても空は見えるよ」

「・・・屁理屈って言うんだよ、それ」




楓くんはそう言うと、喉を鳴らして笑った。
あ・・・楓くんの笑顔。


初めて見た。


冷たい表情をしている楓くんの温かい笑顔。
私は思わず見惚れてしまった。




「・・・なに」



しかし、その表情はすぐにいつもの冷たいモノに変わる。
ああ、残念だと切なく笑うとファインダーを覗きこんで一枚写真を撮った。


でも、やっぱり私じゃうまく撮れない。