楓くんが、過去を乗り越えたみたいに私も。
怖がってばかりいないで、楽しい今を大切にしたい。


私を支えてくれる友達や、家族。

誰かのせいにしない、自分のための道を歩いて行く。
そう決めたの。




「梨乃」



清々しい気持ちで歩いていると呼び止められた。
それは、亘。




「亘、どうしたの?」

「ちょっと、いいか・・・?」



神妙な面持ちで言われ、私は首をかしげながら亘の後を追った。
私たちは、誰もいない教室に入る。

意を決したように振り向いた亘と目が合った。
いつになく真剣な顔に、息をのむ。




「わ、亘・・・?どうしたの?」





戸惑いに声が震える。