「・・・ん」


ぶっきら棒に差し出されたカメラ。
私は戸惑った。

そうだ。
それを見るには、近づかなくてはいけない。


珍しく、あまり恐怖心を抱かない人だとはいえ。

近づくのには抵抗があった。




「あ・・・、ご、ごめんなさ・・・。すみませんっ」




私は、思わず逃げ出していた。
近づくことはどうしてもできなくて。


それでも、言い訳もできなくて。




逃げた。




私のいつもの癖。
私は、いつも、逃げてばかり。



今日もまた。




せっかく、自分から興味が持てる人に出会えたかもしれないのに。
私は、逃げてしまったんだ。