「ふぁ、ふぁえれふっ・・・」

「は?なんて言ってるかわかんねぇよ」

「らってっ」




身じろいだ私を見て、楓くんはパッと手を放した。
私は両手で頬を抑え楓くんを見上げる。




「・・・帰るぞ」




楓くんは立ち上がり歩き出した。


楓くん・・・。
私の気分を変えようとしてくれたのかな。


でも、おかげですっかり気分が晴れたかも。




「梨乃、大丈夫?」

「う、ん。もう平気・・・」




私は立ち上がり、まひろにそう答えた。
そんな私を見ながら、亘が複雑そうな表情を浮かべていた。

その理由は、私にはわからなかった。