ゆりかご

「美羽、あの人…知ってる?」

「ううん、知らないけどー?何かやらかしたのかな?てゆか、あの人っていうより、あの子(笑)?」

1人の男子生徒が、陸上部の人達に囲まれていた。

それを見守る、たくさんのギャラリー…野次馬かな。

美羽の言う通り、”あの子”と言うのがしっくりくる童顔で、男のくせに笑顔がふんわりと可愛らしい。

「………。」

なんだろう…ザワザワする。

あたしは、何か大切なことを忘れてる様な気がしたーーー…。

「あたし、あの子、知ってるかもしれない…。」

「えーっ、そぉなの?繭子と同中とか?」

「違うけどー…。何でそう思ったんだろ。」

「えー?変なのー。」

そう言った美羽は、髪を耳にかけながら明るく笑った。