ゆりかご

「好きな人がいるから…って、アッサリ振られちゃったんだよね、オレ。」

「……。」

そうだ……翔矢の事が好きだったあたしは、あの時スグに断った。

やっぱり…あの時の子は、コータローなの……?

だからあたしは、コータローのこと、前から知ってるような気持ちになったの…?

「オレなりにすげーショックでさ、走って逃げたんだよな。カッコ悪すぎだよね(笑)。」

心の中に風が吹いて、当時の記憶が入り込んでくる。


走ってーーー…。


「ーーー…ッ。」

同じ…キレイなフォーム。


「オレ、あの頃から…今もずっと清田さんのことが好きなんだ。」

その笑顔で、あたしを揺らすーーー…。


「だから、同じ高校だってわかった時は、超嬉しかったし。」

「…。」

「でもオレ…中2の終わりに親が離婚してから、陸上やめたんだ。バイトしてるのも、学費とか色々あって。」

コータローの横顔は、少しだけ悲しそうに映った。