ゆりかご

「なぁんだー、思い出してくれると思ってたのに。」

「だから何のこと?」

コータローは、あからさまにガッカリした様子。


「”佐藤”って、知らない?」

その瞬間、あたしの中を風が吹き抜けて、ドクンと揺らす。

そしてコータローは、あの笑顔で言ったんだ…。


「佐藤ですけど……清田さんのこと、好きです。」

「……。」

揺られて、ハッとしたーーー…。


”大会の時に、他校の子から告られたこともあったじゃん。”

あたしは忘れてたけど、雪乃が言ってた…。

確か中2の夏、どこの学校の子だったとか忘れたけどーーーそう、佐藤くん、言われて名前を思い出した。

佐藤くんから、告られたんだった…。

「…佐藤くんは、思い出したけど、それとコータローとどう関係があるのよ?」

佐藤くんがあたしに言った事まで知ってるなんて……もしかして同中とか?

モヤモヤしたままコータローを見上げると、やっぱり笑顔だった。