ゆりかご

「木村くんの決勝…今日だって知ってるんでしょ⁈」

ゆうちゃんは、涙目だった。

「そんなこと知らな……。」

「行かなくていいのぉ…⁉︎」

え……。

「来て!」

突然あたしの手を取り、本屋さんとは反対方向へ引っ張るゆうちゃん。

「ちょっと…あたし待ち合わせが……!」

「誰と?」

「あ、愛衣。」

「じゃぁ私が断っといてあげる。」

有無を言わさないゆうちゃんは、あたしを引っ張りながらどんどん歩いて行く。

さっきの涙目のゆうちゃんを思い出して、あたしは諦めて従うことにした。


「ゆうちゃん。」

「何?」

「決勝はどこでやってるの?」

「市内の競技場。学校からも見えるし、そーゆう事は繭子の方が詳しいでしょ。」

ゆうちゃんは、振り返ることなく答えた。