ゆりかご

「……。」

あれ……いない。

コータローが…っていうんじゃなくて、グラウンドには陸上部の練習する姿自体がなかった。

今日は練習ないのかな…。

あたしは少しだけ残念な気持ちを引きずりながら、待ち合わせ場所の本屋へ向かおうとしたーーー。



「繭子…!どこ行くのよ⁈」

ふいに名前を呼ばれ、条件反射で振り向くとーーーそこには、険しい表情のゆうちゃんが立っていた。

「どこって……本屋さん…だけど。」

「はぁ…⁈」

あきれたような、イライラしているような…ゆうちゃんの言葉からは、そんな気持ちが感じ取れた。

そんな態度と外の暑さも手伝って、あたしもイライラしてきた。

あたしが、ゆうちゃんの気持ちを知っていながら裏切ったことは、ゆうちゃんからすれば最低のことだと思うーーーでも、そんなにキツくあたらなくても…。

「あたしがどこに行こうが、関係ないでしょ?」

やっぱり、ゆうちゃんとは仲直り出来そうもないーーーそんな事を感じた矢先だった……。