夏休み









走りながら涙が出てきた。

不思議と汗は出て来ない。

涙ばかり溢れてきた。

さっき彼に拭ってもらった場所が熱い。






好きだったのに。

好きだったのに。

本気で大好きだったのに。

その想いばかりが胸を占めていて。

好きだと思う度に涙が出て来てしまった。






「……おい」


「あっ……」





家に入ろうとしたところで出会ったのは、
隣の家に住む幼馴染のアイツ。

よく友達に男女の幼馴染って良いねって言われるけど、
あたしは良いなんて1回も思ったことない。

むしろ何でコイツと幼馴染なわけ?って親を恨んだほど。

あたしの親がコイツの親と仲良いからって紹介されただけ。






「何泣いてんの?」


「…泣いてないし」


「嘘つけ。
涙のあとバッチリ残ってんぞ」





あたしの顔を指さして小学生の男子みたいに笑うアイツ。

…やっぱり大嫌い。