ー安西空ー





「お兄ちゃん!大好きだよ!」




そう言って無邪気な笑顔を向けてくるのは隣に住む春川慎


まだ小学生なのに将来は美人間違いなしの女の子






そんな慎は父親から虐待を受けていた



時々隣から聞こえてくる慎の泣き声

慎を庇う母親の叫び声

なんと言っているかわからない父親の怒鳴り声




その声を聞くと俺は決まって隣の部屋に入って、慎と母親を助けた



泣きながら母親に抱きつく傷だらけの慎を見る度に父親を殺したくなった




そんな慎を庇う母親も疲れが顔に出ているけど、慎を抱く力を緩めない


ただ、ごめんねを繰り返した








そして、俺が17歳、慎が10歳になった時に俺にも慎にもある出来事が起こった