夢乃ちゃんが奇跡的に起きて海を見たあの日から既に1ヶ月。


夢乃ちゃんは、あの後直ぐに寝てしまったけれどいつも以上に可愛い寝顔だった。


林檎さんは自分の考えを改めて、夢乃ちゃんはまだ病院にいるものの家族3人で出かけたりもしている。


実はこの前そのお出かけにお呼ばれした。
とても楽しかった。


まぁ後は普段通りの日常……とはいかないよね、やっぱり。


あの後僕はまず、警察署に連れて行かれて延々とありがたいお言葉を頂いた。


やっと終わって家に帰ると、あのテレビを見た家族が家で待っていた。


僕はただいまと言った。


すると、母に泣かれて、父に殴られ、祖母に泣かれて、祖父に殴られた。


その後は学校だ。


まず先生方のありがたいお言葉を延々と聞いて、男友達からは騒がれて、クラスの女子からは確実に軽蔑された。


まぁ、夢乃ちゃんに軽蔑されなければなんら問題ないんだけどね。


11年の付き合いの親友は、


「ハハハ、お前は優しいなぁ!でもよお前って、皆に優しいからいつか絶対何かで損するぞ。気をつけろよな!」


と、言った。


「おいおい、何回目だよそれ。大丈夫だよ損以上の事で返ってくるから……さ」


僕はそう、笑って言った。