僕はとりあえず夢乃ちゃんをおんぶする。


おんぶしたまま、走って逃げる。


しかし、相手はパトカーだ。あっという間に回り込まれて逃げ道をふさがれる。


「守野 高姫君……だね?」


降りてきた警官が僕に聞く。


「違うって言ったらどうします?」


「任意同行だね」


僕は夢乃ちゃんをおぶったまま立ち尽くした。


ふぅ、どうしよう。


「だーかーらー!君が守野 高姫君なんでしょ?」


僕はパトカーに乗せられて、質問されている。


「いいえ、僕はただの通りすがりの高校生です」


「ふざけるのもいい加減にしろよ!」


こんな、やり取りを続けている。


すると、パトカーの窓がコンコンとノックされて警官が警官に何かを伝える。


「ん、分かった」


パトカーの中にいる警官はそう返事をして窓を閉めた。


「眠坂 夢乃さんの家族の方が来たらしい」