うわ、奴らにバレた。警察か?眠坂グループの人間か?どちらにしてもまずい。
「俺と息子で強引に気を引くからよ。その間に少し先の抜け道で山を越えるんだ。山を越えたら海だからよ」
「え…!でも……」
「気にすんなよ……。多分だけどお前ら追われてるんだろ?なぁに心配するな俺はただお嬢ちゃんに海を見せて欲しいんだよ…」
「今どき、いないぞこんな、海をキラキラした目で話す子は……だから頑張れ」
僕はただ、こくりと頷いた。
僕と夢乃ちゃんは車イスを荷台に置いて軽トラから降りる。
軽トラが少しずつ動く、助手席の窓から松葉杖が出てきてそれを振ってくれた。
僕達は軽く手を振り返して、言われた抜け道に入る。
本当に抜け道って感じで、もちろん舗装はされていない。
「大丈夫?夢乃ちゃん」
「ん?うん、大丈夫だよ」
そんな感じでなんとか進むが、やはり山道だ。全然進まない。
それでも、なんとかなんとか山を越える。
「ん?うわぁ…!潮の香りだよね?」
夢乃ちゃんが嬉しそうに僕には聞く。
僕も嬉しくなって、力いっぱい頷く。
「多分この堤防の向こうが全部海だよ!」
僕はそう言って夢乃ちゃんの手を引いて堤防を通れるところを見つける。
「夢乃ちゃん!もう少しだよ!」
「うん!わぁ!楽しみだ………な…」
夢乃ちゃんはそこでぐらりと倒れる。
「うわっと!」
僕はなんとか支えるが、まさか…。
眠っている……!
まずいぞ、非常にまずい。
僕が悩んでいると、サイレンの音が響く。
パトカーだ!しかも2台も!?
「やばい!」