「あぁ、普通に行ったらもう少しかかるけどな…。裏道を通るんでそんだけで行けるんだよ」
なるほど。地元民の知恵なのか?
「じゃあ、行こう!高姫くん!」
夢乃ちゃんは大量のご飯を食べ終えて、僕に言う。
「うん!あ、すいません今からでも大丈夫ですか?」
ご老人は立ち上がって、
「おうよ、乗りな」
と言ってくれる。
「ありがとうございました!」
僕と夢乃ちゃんは女の人にお礼をして軽トラの荷台に乗る。
運転席にはご老人。助手席には男の人。
そして、荷台には僕と夢乃ちゃんだ。
「行くぞ、つかまってろよ」
「はい。お願いします!」
軽トラが動き出す。
少し進むといきなり山道に入る。
ガサガサと木々を揺らしながら進む。
「うわぁ。すごいねぇ」
夢乃ちゃんはこんな時でも楽しそうだ。
「ふふ、そうだね!すごいね!」
僕も楽しくなる。いいことだ。
キキィッ!車が止まる。おや?そして少し下がったぞ。
着いたのだろうか?
「ボウズ…!」
運転席の窓からご老人が首を出して僕に呼びかける。
「この先にこの辺の奴じゃない車が止まってるんだが……」