「ほう、そうかそうか……。お嬢ちゃんが行きたいんだな?」
ご老人はニコリと笑顔で聞く。
「はい。それで高姫くんに手伝ってもらってるんです」
「わかったよ。それ以上は聞かないから言わなくても良いよ」
ご老人がそう言ってくれる。
「それで……だ」
ご老人は夢乃ちゃんから再び僕の方を見る。
「はい?」
「俺の車で連れてってやるよ」
「えぇ!?本当ですか?」
「あぁ。俺もお前らが気に入ったからなぁ」
ありがたい!これはありがたいぞ!このまま歩いたらきっと一時間以上かかっていたからね。ん…?
「あの、ここから海ってどれくらいですか?」
そう、しっかりとここを聞いておかなければ。
「んー、10分ぐらいじゃねぇかな」
「10分!?近っ!」
僕は驚いて思わず言った。


