夢を見すぎるお年頃


「兄ちゃん、乗ったか?」


「あ、はい。乗りました」


僕がそう返事をすると軽トラが動き出した。


「いやぁ、助かったねぇ。夢乃ちゃん」


僕は返事が無いことは分かっていたが、嬉しかったので言った。


「ふぇ?うん。そうだねぇ」


「へっ!?」


夢乃ちゃんは目をこすりながらなんだか分からないまま返事をしている。


「え…?い、いま何時…?」


僕は言いながら腕時計を見る。うん。3時ぴったりだよね。


まずいぞ、は、早くないかな?


「ふぁーあ。いい風だねぇ」


「う、うん。だねぇ」


僕はとりあえず返事をする。


という事は今から一時間以内に海に行かないと、夢乃ちゃんはまた寝てしまう。


「お腹 空いた…」


夢乃ちゃんはうつむいて、言う。


「あ…!」


しまった!もう食べ物も飲み物も無い!


「おーい、兄ちゃん!着いたぞぉ!」


軽トラがキキィッと止まる。


「あ、あの!た、食べ物あります?」


僕は慌てて聞く。