「なぁ…兄ちゃんよ…なんでこんな所にその…車イスの子といるんだい?」
男の人は疑問に思ったのだろう。そりゃ普通は疑問に思う。
だって、真夜中に車イスに乗った女の子を乗せて街灯も無い道を歩いている…だなんてね。
「えっ…と。海に行くんです……よ」
僕は嘘はつかずに答える。
「はぁ!?…………う、海?」
「は、はい。そうです海です…」
うーむ。まずい凄く怪しまれている。救急車が来たら色々とバレてまずいし……。
仕方ない!
「じゃっ!お大事に!」
僕は全力で走って逃げる。
「あ…!ちょっと……」
男の人は手を伸ばして止めようと、するが僕は気にせず全速力で走る。
「はぁ…大丈夫かな?置いてきて…」
僕は気になったが仕方ない。
今は海を目指すしか無い。
心苦しいが仕方ない。
「はぁーあ。駄目だ…流石に疲れるなぁ」
僕は歩きながら言う。
腕時計を確認する。ふっ、もう深夜1時を過ぎた頃だ。
流石に、眠いよ。
夢乃ちゃんはぐっすり寝ている。


