「おっ…と」


かなりの急斜面。気をつけなければ滑ってしまう。


5分ぐらいかけて降りる。


「大丈夫ですか?」


僕は倒れている人に声をかける。


「あぁ…少し、足が痛いだけだ…」


その人は男の人…見たとこ50代くらいの人だった。


その人の右足は曲がってはいけない方向に曲がっているように見える。


「立てますか…?」


僕は手を差し伸べて、肩に担ぐ。


「……すまねぇ」


男の人はそんな感じで肩を借りる。


「よいしょ…っと」


今度はケガ人がいるのでより慎重に斜面を登った。


20分ぐらいかかってしまった。


「あぁ…助かった…!」


男の人はそう喜んでいる。


でも、この足は病院に行かなきゃ駄目だろう。


あ、そうだ。救急車を呼ばなきゃ。


僕は携帯の電源を入れて、119番する。


「はい……お願いします」


僕は連絡を終えて、直ぐに携帯の電源を切った。バレてなきゃいいけど…。