走る僕。走る車イス。
「うわっ…!ちょっ…!待って…っ!」
坂を全力で走ったために小石につまずいた僕。
「わぁっ!」
転んでしまい、転がりながら坂を下る。
転がる僕。走る車イス。
「うわぁぁぁぁ!」
視界が何度も何度もぐるぐる回る。
目の前に車イスが来る。
「待ったー!」
ガシッ…としっかりと車輪を掴み、車イスを止める。
「はぁ…あぁ…疲れた…」
僕はまず、夢乃ちゃんの顔を見る。相当なスピードで走ったので心配だ。
「ふふ…良かった……」
夢乃ちゃんは見たところケガもしておらず可愛い寝顔で車イスに寝ている。
「ごめんね…夢乃ちゃん。頼りなくて…さ」
僕は夢乃ちゃんにそう言って、坂の上を見てみる。
ありえないほど、急で長い。
「よく死ななかったな…」
改めて自分達の運の良さに感激して、再び車イスを押して歩く。


