僕は安心して夢乃ちゃんの方を向いた。


カラカラ、カラカラ。少しずつ進んでいる車イス。


「え…」


その先には急な坂があった。


「うぇ!?やばい!!!」


走って止めに行こうと思ったが…!


カタ……。前輪だけが浮いて、止まる。


「ほっ…」


僕は思わず胸をなで下ろす。


ガサッ!


「は!?」


イノシシが飛び出てきて、車イスに当たる。


「この…!お前、絶対後で食べてやる!」


グラリと車イスは前輪が地面につき、猛スピードで坂を下っていく。


「うわぁぁぁぁぁ!待って!待って!」