「ブヒィ!」


奴は全く速度を落とさず、僕の方に走ってくる。


「嘘!嘘!食べない!食べないから、山に帰れー!」


イノシシ相手に全力の説得を挑戦している高校二年生の自分。


「ブヒィィィ!」


「ぐわぁ!」


背中にイノシシが突っ込む。


バタン、僕は倒れる。


車イスはまだ余力でカラカラと進む。


僕は無我夢中で全力でイノシシを掴む。


「ブヒ!?」


イノシシは困惑して、ジタバタする。


「この…!邪魔するなよ!」


イノシシをはじき飛ばす。


「ブヒィ……!」


イノシシは山の中に逃げていく。


「はは…は。やってやったぜ…」