「いいえ!違いますよっ!」


僕は手に持っていた夢乃ちゃんの為に買ったペットボトルの飲み物が大量に入ったビニール袋を警官の頭に思いっきりぶつけた。


「うわっ!」


警官はひるんで地面に倒れる。


その隙に全力で車イスを押して走る。


しばらく、逃げて路地裏に入る。


呼吸を整える。


「ふぅー、ふぅ。まじかよ…」


プルルルル電話が再び鳴る。


「はい、もしもし…」


「あ、高姫ー?大丈夫?電話切れたけど…」


小夢ちゃんだ。


「うん。大丈夫だよ。警官に追われて、知り合いなら確実に分かる写真がテレビに流れている事以外はね」


「それ、本当?」


小夢ちゃんは驚いている。


「ねぇ高姫。もし出来るならそのままお姉ちゃんを海に連れて行ってあげて」


小夢ちゃんはいつものように強気な声でなく本当に頼んでくれた。