「ま、とにかく私としては!お姉ちゃんを連れ出してくれて嬉しいんだけど……」
「だけど……?」
僕はなんとなく分かったが聞いた。
「お母さんにバレたよ」
「うっ…!」
やっぱりか。早かったな。こうなりゃ急いで電車に乗って…。
ファンファンとサイレンが聞こえてくる。
嫌な予感しかしない。
「あ、お母さんって、警察の偉い人と知り合いだから、もしかしたら警察がそっちに行くかも」
キッとブレーキをかけて僕達の前でパトカーが止まる。
「あ、あとさ、テレビ局の偉い人とも知り合いだからさ、もしかしたら情報を求むとかやるかもしれないよ」
駅に設置されている大画面のテレビを見ると、目の部分だけ黒い線が入った僕の写真が映っている。
「あ、なんでそんな知り合いがいるかって言うとね、お母さんは眠坂グループの総裁なんだよ」
僕は駅前に建っている巨大なビルを見る。
眠坂と、しっかりと書かれている。
「えー、守野君かな?」
パトカーから降りてきた警官が僕に聞いてきた。


