「あ、あのー眠坂さんでしょうか?」
僕は確信していたが一応聞いた。
「えぇ眠坂 林檎(ネムリザカリンゴ)ですけど」
「い、いやあの、少し夢乃ちゃんの事でお話がありまして…」
「夢乃の事で?あぁ貴方が最近来ている子ね。それで何か?」
「ゆ、夢乃ちゃんを出かけさせて上げてください!」
「無理よ」
スパッとキッパリとズバッと言った。
「え、で、でも!」
「あの子はどんな時でも一時間たったら寝てしまうのよ?外でそうなったらどうなると思うの?」
「あ、うぅ。僕が!僕は責任をもちます!」
僕は負けじと言った、が、
「貴方の命じゃ足りない」
あっさりと、そう返された。
普通なら命は平等だっていうのが大人の表面上の建前だろう。
しかし、この人……林檎さんは平気でその表面上の物を剥がして僕に言った。
「夢乃ちゃんが……!望んでもですか」
僕はそう言った。そう言うしかなかった。


