その後、僕はしばらく病室に居た。


理由は1つだった。


夢乃ちゃんに完全な一目惚れをしてしまったからだ。


その時間はとても楽しくて本当に時間を忘れるぐらいだった。


外がうっすらと暗くなりはじめたので、僕は帰ることにした。


「あ、もし良かったらまた来てね」


夢乃ちゃんはそう言ってくれた。


「えっ?良いの?」


僕は思わず聞き返してしまう。


「ふぁ…あ」


僕の質問には答えず本当に倒れる様に寝てしまった、夢乃ちゃん。


これでは本心で言ってくれたのか社交辞令なのか、分からないままだ。


そんな夢乃ちゃんに布団をかけてあげる小夢ちゃんが、


「多分、本心だよ。あんまり他の見舞い客も来ないから」


と、言いさらに、


「だから、来なよ。大抵この時間に起きるからさ」


と、言ってくれた。


僕はまるで中学生に励まされたようだが(実際に励まされたが)嬉しく、


「うん!またね」


と、言えた。