「ふぅー…ごちそうさまでした!」


夢乃ちゃんは素敵な笑顔で言った。


「はい、今日も良い食べっぷりね」


看護師さんが食器を片付けながら言う。


「うぅーん。今日も美味しかっっったぁ!」


伸びをしながらそう言う夢乃ちゃん。


「それじゃあ、また明日ね。おやすみ」


看護師さんがワゴンを引っ張りながら病室から、出ていく時にそう言ったのが聞こえた。


「はーい、また明日。おやすみなさーい」


夢乃ちゃんはそう返事をした。


言っていなかったけど、今はまだ5時頃だ。


こんな時間におやすみ?


僕が不思議に思ったからかは分からないが小夢ちゃんが話し始めた。


「まぁ高姫はいい人そうだから話すけど……」


と、いつの間にか呼び捨ての僕に前置きをしてくれる。


「お姉ちゃんは1日に一時間しか起きられないって病気なんだ」


小夢ちゃんはまるで家族構成を他人に話すような口調で言う。


「ふぁい、そうなんだよねぇ」


あくびをしながら当の夢乃ちゃん本人が言った。


「そうなんだ…」


僕は曖昧な言葉で答える。


「ま、起きる時間は大抵この時間って決まってるけど寝るのはピッタシ!一時間後なんだよね」


小夢ちゃんが軽く、病室を掃除しながら言う。


「そうそう、だから後……?」


そこまで言って言葉を止める夢乃ちゃん。


「40分!」


小夢ちゃんが、いつもの事の様に言う。


「あぁ、ありがとう。そう後40分起きていられるんだよ」


ほんわかと和やかな雰囲気を出しながら夢乃ちゃんは話した。