幽霊が学級委員長という立場に不向きである事はどう考えたって明らかだったが、この際そんな事はどうでも良い。


この退屈なホームルームを早く終わらせたいし、私は学級委員長なんかやりたくない。


みんなだって、やりたくない。


でも誰かが犠牲にならなければいけないのだ。


幽霊なら気が弱くて大人しいから、頼まれれば断れず、引き受けるだろう。


「はい、先生」


私は挙手をし、幽霊を学級委員長に推した。



「……推薦されたけど、どうする?」


後方の席にいる幽霊を振り返ると、ややうつむいた顔にありありと戸惑いの色を浮かべ、担任教師の言葉にも何と答えたら良いのかわからない様子であった。



おもむろに顔を上げた幽霊と目が合ったとき、私は「やるでしょ?やるよね?」という意味を込めて、彼女を睨み付けた。