全然気付かなかった。


まさか瑛梨奈がいじめに遭っていたなんて。


てっきり、かつての私のように、明るくはきはきとしたクラスの中心人物になっているとばかり思っていたのに。


いつも見ていた娘の姿が、偽りのキャラクターだったなんて。



そんな彼女に対して、私はなんと酷い事を言ってしまったのだろう。



あの時、瑛梨奈に浴びせかけた、あまりに感情的且つ軽率な発言の数々を思い出し、私は心底ぞっとした。



遺書には更に、こんな事も書かれていた。



――たぶんママは、人間関係に悩んだ事も無かったのだと思います。


もしくは、ママは気が強いから周りの友達がみんな怖がって、気を遣ってあげていたのかもしれません。


それもまた、ママにとっては当たり前の事だったのでしょう。


私は周りの気遣いを当たり前と思わず、ちゃんと感謝出来る人でありたかったです。――



瑛梨奈が私の事をそんな風に見ていたなんて……。