クラス全体の健康観察記録をつけ手洗い・うがいの励行などを呼び掛ける保健係、定期的に学級新聞を発行する新聞係といった、クラスの役割分担を決めていた。


みんながそれぞれ、自分の希望する係に立候補し、係ごとに必要な人数の過不足は譲ったり譲られたりして上手く調整し、あとは――

「学級委員長」だけ、誰も立候補せずにまだ決まっていなかった。


「学級委員長、誰かやってみたい人……

いないの?」


担任の女性教師がそう問い掛けると、クラス全体が水を打ったように静まり返った。


当然である。


学級委員長なんかになったら、学校の代表委員会に入らされたり、折に触れてクラス内の面倒事を押し付けられたりして、昼休みが削られたり、帰宅が遅くなったりしてしまうからだ。



「相応しい人を推薦してもいいのよ」


友人と4人で無事、新聞係に決まり、ホームルームにも少し飽きていた私は、担任教師のその言葉に妙案を思い付いた。


――幽霊に押し付けちゃえ。