――それにしても……

と、私は本を見下ろして、妙な感慨のこもった溜め息をついた。


それにしても、もう少し歳をとれば、こんな嫌味な本も面白がって読めそうなものだが……

小学4年生、まだまだ子供だと思っていた瑛梨奈も、こういう意地の悪い、どす黒い感情を理解出来るようになったとは。



女の子が大人になるというのは、つまりそんな事だ。


仲良しの友達をはじめとした周りの女の子たちに対する競争心、優越感、嫉妬心。


そういう、毒々しい湿った感情を決して表に出す事無く、常に心の奥底に隠し持ち、それを糧に成長していく。


謙虚で親切で純粋そうに振る舞いながら「自分が一番」であり続ける。


優越感を脅かす存在は、涼しい顔をして徹底的に排除。


可愛くて純粋なだけでは、そして図太く狡猾でなければ、女の子はあっという間に埋もれてしまう。


誰かに踏み台にされ、損な役回りばかり押し付けられてしまう。



私だって、私の友達だって、幽霊だって

年頃の女の子は、みんなそうやって生きていた。