*°春夏タチバナ*°





【春翔side】




電車で揺られ始めてそんなに長くないのに
冬羽はもちろん、京香も夏那も黒田も寝やがった




ま、隣の秋は寝てねーけど











「もう寝るとか、
みんなどんだけ舞い上がってたんだっつの」





「いいじゃん
俺も楽しみだったしさー」











俺の呟きを秋はヘラっと笑って受け流す




こんなやって笑ってるけど
こいつ本当に来て大丈夫だったのか?





昔のことがあってこいつなりに考えての弟妹の面倒を見るって決めてたのに…


よかったのかねぇ


あんな黒田の一言だけで決めて




俺の言いたいことが分かったのか
秋は俺の顔を見ると、グットポーズをとった











「俺は大丈夫、黒田が言ったことも一理あるし
いつまでも自分のこだわりだけで動いてもみんなの為にならないし

なにより、俺がしたいことが出来ないもん」





「あーそーかよ」











秋はそう言って笑った





けど、面白くねー



こんなふうに笑うこいつは初めて見た


絶対なにか隠してやがるぞ





まぁ今はいい
こいつが言いたい時に言えばいいんだ







どうせ冬羽絡みなのはなんとなくわかるし






何はどうあれ
こいつが少し前に進んだなら祝ってやらなきゃな







そんなことは何があってもこいつには言わねーけどさ











「そんなに俺見てなに?」





「何もねーよ!」











ぶっきらぼうにそう言い放って
俺もひと眠りすることにした