私が初めてスナックで厨房にも入った時の話です。

『優ちゃん、卵焼き焼いて来て』

ママがお客さんに出す\1000の卵焼きを焼いて来いと言いました。

私は卵焼き器を見て焦りました。

テフロンでした。

私の愛用の卵焼き器は鉄製でした。

私は焦げるのだけはと格闘しました。

『まだー?』

ママが聞きます。

「もうすぐです!」

卵焼き器の中でプリンのように卵が揺れています。

何とか巻いて、焼けたようなのでキャベツやトマトやキュウリを添えて出しました。

『アラアラ!』

卵液が流れ出したのです。

『卵焼きも焼けないなんて~!』

お客さんが、

『今時の女の子はこんなもんだよ』

とフォローしてくれます。

「違うんです!
あの……うちのはテフロンじゃなくて……」

帰りにみっちりイヤミを言われました。