「それは可哀想に。でもすぐ仲直りできるよ。冷静になったら、今度はあっちから電話もくるかも」
あたしはそういう。だけど心の中ではこう思っていた。『彼女は、あなたの愉快な性格を理解してないんじゃない?』それから、こうも。『あたしなら、笑って聞いてあげられるよ』。
にこっと彼が笑顔を見せる。
お隣さんに見せる、いつもの笑顔。
「うん、ありがとう。邪魔したね、漫画」
「いいの」
ねえ、良かったら、これ読んでみる?凄く面白いの。笑えて気分も変わるかもよ、そう聞こうとした瞬間、彼は手を伸ばして窓をしめてしまう。ご丁寧にカーテンまで。
「───────」
あたしはため息をついて椅子へどすんと座った。
多分それほど凹んでいるのだろう、これから彼はベッドに突っ伏すんだわ、あたしはそう思ったけど、すすめようと思った漫画は手から滑り落ちてしまって足にぶつかった。痛かったな、本当。
・・・素敵な彼女なんだろう。だけど、あたしなら─────────



