「...咲誇」




柔らかい声で、翠斗が私を呼ぶ。


...懐かしい。


でも、一番恨めしい存在。


私はこの人を許してはいない...。




「元気にやってるか?」


「...う、ん」


「そっか。よかった」




何を、考えているんだろう。


どうして、そんな優しく言うんだろう。


私もあなたも、互いに恨み合うべき存在でしょ?


騙し、騙され、潰し、潰され。


ときには大事な人を奪われそうにもなった。


私がチームから追放されてから、ずっと平行線を辿ってきた私たち。


それなのに、どうしてそんなに落ち着いていられるんだろうか。