シンとした、真っ白な部屋。


壁も天井もベッドもシーツも、何もかもが真っ白なその部屋を染めたのは……彼らだった。




「ぶぉわあぁぁっ!!?何だこれ、不良品かよ!!」


「何してんだよお前!!来て早々に見舞い品をぶちまけるバカがどこにいんだよ!!」


「ここにいるだろ!!つーか見舞い品でビールもって来る馬鹿はどいつだ!!」


「あー、俺っす」


「「歩かよ!!!」」



…うるさい……。


個室だとはいえ、こんなに騒いだらナースステーションに聞こえるでしょ……


諒真さんが思い切り床にこぼしたビールを眺めながら、苦笑いする。



「うっせーよ、お前ら……。怪我人の前で大声出してんじゃねぇよ」



蓮央も呆れて諒真さんと圭太を鎮め、私の頭を撫でた。



「咲誇、体調はどうだ?」


「順調だよ。傷ももう塞がったし痛くないし。あとは退院許可を待つだけ」


「そうか……よかった。あのロリコン医者から『ヤバイ』って言われたときは殴り飛ばしそうになったけど、心配ないな」



蓮央が言う『ロリコン医者』とは、私の担当の矢崎先生。


若くてイケメンだからか、沢山の人からアプローチを受けているみたいだけれど、本人は未だ独身だ。


そして何故か、蓮央は知らない間に矢崎先生をライバル視している。