『お前らの負け』
負け・・・?
そんな単語知らない。
だって、あたしは、あたしたちは。
ずっとずっと、負けなんて知らないで生きてきた。
桜蘭との戦いの時も、負けなんていうことは考えなくて。
ただ必死で。
……だから、負けたらどうしようとか考えなかった。
負けるだなんていう言葉、知らない。
「…違う………」
「いいや、違わねぇ。認めろ」
「負けてない!まだ終わってない!!
離せっっ!!……っゔ…!」
沢口啓明の手から逃れようともがくと、さらに腕が捻られて激痛が走った。
痛みに耐えられず呻く私に、沢口啓明が話しかけてくる。
「……お前さ、置かれてる状況分かってんのか?」
「…離、せ……」
「どうせ、今までお子様みてぇな喧嘩ばっかりしてきたんだろ?
ヤクザを相手にすることがどんなことか、分かってなかったんだろ?」
「っ……」
「これだからガキは困んだよ。俺らを対等に見てやがるからな…。
この機会に教えてやる。俺たちはお前らみてぇなあまい世界には住んでねぇんだ」
あまい世界…?
それは、武器を使わず、素手で勝負する世界のこと?
正々堂々と、互の名をかけて戦うことが、『あまい』っていうの?
・・・何それ。


