「……咲誇はどこだ」



不意に聞こえた、あの声。


たった一言で私の胸を高鳴らせるその声は、やっぱり。



「蓮央っ……!」



彼しか、ありえない。


蓮央が、部屋のドアを蹴破って入ってきたんだ。



「蓮央、蓮央!」


「咲誇……!?どこだ、咲誇!」



叫びながらこっちに歩いてくる蓮央。


そして、私と目が合った。



「咲誇……!…おい、てめぇ」



今の私の現状を理解したらしい蓮央は、変態男を鋭く睨みつける。



「咲誇から離れろ、このド変態野郎」


「気に入った女襲って何が悪いんだよ」


「そいつは俺のだ。返せ」



蓮央が、変態男の胸ぐらを掴みあげた。


それに全くビビらない変態男。



「はいはい、分かりましたよー。殴られんのはごめんだからな」



ヘラヘラしながら私の上から変態男がどくと、蓮央が私の頭を撫でる。



「ごめんな、咲誇…。来るのが遅くなっちまった」


「ううん、大丈夫。でも……どうして、ここが?どうやって入ったの?」


「それは後で説明する。今は帰るぞ」



──ガンッ!!バキッ!!



蓮央は手錠が繋がれたテーブルの足を折り、私を抱き上げる。


そしてそのまま、ドアの方に歩いていこうとしたとき。