広いオフィスに、私と沢口啓明の二人きり。


気まずい沈黙が流れる。



「……睡嵐姫」



最初に口を開いたのは、沢口啓明。



「若木諒真はどこにいる。教えろ」


「……言うわけないでしょ」



誰が、こんな奴に言うかっての。


教えたらすぐにあの創庫を襲うだろうし。


ていうか……



「その『睡嵐姫』っていうのやめて」


「俺がお前をどう呼ぼうと俺の勝手だろ」


「ふーん。じゃあ私もアンタのこと『最低変態ドS野郎』って呼ぶから」


「お前とお喋りしてる暇なんてねぇんだよ」


「じゃあ教えてよ、諒真さんとの関係」


「その前に諒真の居場所を言え」



互いに一歩も譲らない状態。


コイツ、しつこい……。



「何でそんなに諒真さんにこだわるの?」


「アイツがここの跡取りだからだ」


「何それ。アンタも、諒真さんに無理やりここを継がせようとしてるわけ?」


「…………」



答えなくなった沢口啓明。


無視をするなと、そいつの方を見ると。