──チンッ




エレベーターが、ここ20階につく音がした。


えっ!?


マズイ、隠れないと!!


急いで、他のエレベーターの入口の窪んだ部分に身を隠した。


そしてその直後、隣のエレベーターのドアが開いた。


微かに足音がする。


誰だろう。


そっと、影から覗いてみると。



「いやぁ沢口さん、すいませんね!VIPルームを貸してくださるなんて!」


「いえ、このくらいは当然ですよ。あっても俺は使いませんしね」



ハゲた中年男と並んで歩く、茶髪の男。


耳にはピアスがたくさん開けられている。


あれは確か、沢口啓明?



何してるんだろう……。



私の中の好奇心が、ムズムズし始める。


あの男の正体を知りたい。


あの恐怖の根源は何?


あいつは誰?



……気になって、仕方が無い。