コツ、コツ、と、無駄に高いヒールの音を響かせ歩く。
それにしても、ホントに会社みたいなビルだなぁ。
お母さんが見ていた、韓国のオフィスラブドラマに出てくるような造りだ。
ところどころに観葉植物がちゃっかり置かれてるし。
イメージとは、全然違った。
何かこう、もっと「極道!」って感じかと思ってた。
日本庭園なんかがあって、鹿おどしとかあって。
カコーンッ……って、あの心地いい音が響いて。
そんな感じかなぁなんて思ってたら、現実は違った。
ヤクザも近代化してるんだね。
妙に納得しながら、『Women』とあるお手洗いに入った。
誰もいないことを確認し、個室に閉じこもる。
「えーと、確か……ここだっけ」
胸のブローチの、少し出っ張った部分を押した。
次いで、髪を耳にかけて、つけてあるピアスを軽く押す。
すると、ザーザーという、テレビ特有の砂嵐の音が聞こえてきた。


