「うわ何この女、すっげー可愛いな!」

「海利、そいつを一晩貸せ」

「いや俺に貸せ!1時間で済ませるからよ」

「俺が先に目をつけたんだぞ!!」

「ふざけんな、俺だ!!」



……何やらよく分からない乱闘が始まってしまい、私と海利はそそくさとその場を離れた。



ビルの中に入ってしばらく歩き、あの変態たちから離れると、ため息が出た。


あー、気持悪かった。



「…こんくらいでため息ついてどうすんだ?」



北苑が前を見て歩きながら、私に向かって言う。


こんくらいって。


だいぶ疲れたんですけど。



「これからお前は、たくさんの幹部たちを相手にするんだ。今のうちにかわす練習しとけ」


「了解……」



引き受けなければよかったと後悔しつつ、北苑のうしろでエレベーターを待つ。


あーあ、早く終わって帰りたい……。