「……で、何の用なんだよ、北苑」
圭太が尋ねると、北苑はまたフンと笑う。
「京也に頼み事をされてな。お前ら……若沢組の詳細を知りたいんだって?」
「な、何でそれを!?」
思わず立ち上がって叫ぶと、ビックリしたように北苑は私を見た。
「お前、あんときの姫か。へー…まだ蓮央と続いてたんだな。てっきり別れたかと思ってた」
「……余計なお世話だし」
睨んでもビビる様子はなく、北苑は笑って長い足を組む。
そして……少し真面目な顔になって、蓮央に視線を向けた。
「若沢組のことなら、悪いけど教えられないぞ。裏切ったら死ぬのは俺らだ」
「そうかよ……。なら、何でここに来た?」
諦め気味に、頬杖をついて言う蓮央。
そんな様子の彼を見て、北苑は薄く笑いを浮かべた。
「勘違いするなよ。あくまでも『若沢組について話せない』だけだ」
「……どういう意味だ?」
ククッと笑った北苑は、名酒『菊の月』を一升瓶ごと飲んで、言った。
「潜り込めばいいじゃねぇか、若沢組に」
「「「「・・・はぁ?」」」」
北苑以外全員の声が、重なる。


