《京也side》




咲誇の居なくなった部屋に、1人立ち尽くす俺。


シンとしすぎていて、怖い。


頭の中にあるのは、咲誇が言った最後の言葉。



『京也がいてくれて良かった……!』



喉の奥から絞り出すように、か細く言われたその言葉は……俺の頭を支配するのには充分だった。



「っくそ……何で、んな事いうんだよ……」



せっかく、諦めようと思ってたのに。


未練なく、咲誇のことを忘れるつもりだったのに。


あんなこと言われたら……無理じゃねぇか。


諦める?

無理だろ。


忘れる?

忘れられっかよ。


マジ、馬鹿じゃねぇの。



「これ以上、好きにさせんなよ……」



どうしろっていうんだ。


最後までこんなに好きにさせて。


諦められるわけが無いだろ。


むしろ、前より好きになっちまった。