「はぁぁ………」



京也って不意打ちでなんかしてくるから、ほんと心臓に悪い…。



「京也、ご飯できたよー……」



出来上がった昼食を、リビングに持っていこうとしたとき。



──ピンポーン……



部屋のチャイムが鳴った。


お客さんかな。


誰だろ……。



「……咲誇、俺が出る」



お皿をおいて出ようとすると、何故か京也に止められた。


その顔は、なんだか険しくて。


まるで……誰が来ているのか、分かっているような表情だった。


京也は無言で私の背中を押し、玄関のそばのトイレに連れてきた。


私をトイレに押し込む京也を見上げ、その腕を掴む。



「京也……?」


「咲誇。これから何があっても、ここにいてくれ。俺がいいって言うまで……出るな」



真剣な、京也の目。


意味がわからなかったけれど、断れる雰囲気ではない。


渋々、頷いた。



「ありがとな……。最後のワガママだから」


「え…?」



京也の言葉の意味を確かめる間もなく、トイレのドアが閉められた。